Freedom Laboratory

もっと自由で、いいんじゃないの?

訪問先の「現場」

 

債務者という表現は誤解を招く恐れがある。

債務者が悪いわけじゃない。

 

住宅ローン

車のローン

カードでの買い物

奨学金

仕事上での取引

…。

 

誰もが債務者だ。

 

良くないのは、債務不履行な債務者。

要は約束どおりしない、不義理しているということ。

当事者間で、内容は様々だとは、思う。

社会通念上、これだけは許すわけにはいかない、限度がある、という事もある。

何らかの責任なり、弁済なり、ペナルティーが付きまとうのは当然だ。

無かった事にはできない。

 

 

約定日から2週間が過ぎていた。

携帯は、お客様のご都合により…だ。

勤務先になんて、あたりまえのように、いない。

逆に、こっちも困ってるから探してるなんて言われる。

いつものパターンだ。

別に、行きたいわけでも面白がってるわけでもない。

そんな四角四面なことを言ったつもりもない。

 

契約書面にある住所、現場へ向かう。

 

 

 

かなり古い市営住宅が立ち並んでいた。

カーテンがない、空室が目立つ。

その中にも、ほんの僅かなスペースに、花を植えて育てている人もいる。

子供の三輪車や、おもちゃのスコップが転がっている。

まだ午前中なのに、秋の夕方に見たような、そんな空気に包まれる。

 

ゆっくりと進む…

 

あの棟の〇〇〇号室だ。

 

入口の階段の横に、10個ぐらいのポストが見える。

1つだけ、郵便物が溢れ出て、地面に散乱したポストがあった。

 

あれに違いない。

 

エンジンをかけたまま、車を降りる。

 

 

地面に溢れ出た郵便物を見る。

 

訳の分からない県外からのDMが多数ある。〇〇キャッシングやらなんやら。

どれを見ても、若い女が笑って受話器を持っている。

 

消費者金融からの催告書だろう、いろいろあってカラフルだ。

 

携帯会社からの通知、、これも普通の請求書にはとても見えない。

 

役所からの封筒。かなりの家賃、税金を滞納してるはず。

 

散乱した郵便物を、片隅に蹴りやる。

 

 

エレベーターなんてあるわけがない。

一番上まで狭い階段を上がっていく。

 

降りてくる足音が聞こえた。

同業者なら一目でわかる。

 

 

玄関のドアまできた。

 

これは、反対側のドアの住民も、この棟の人たちも、恐ろしいだろう。

 

投函口に新聞やら水道料金、電気代ガス代の請求書が混ざり合って詰め込まれている。

入りきれない新聞は、隅へ無造作に積み上げられている。

ドアに電報が何枚も張り付けられている、、これ、闇金系。

ドアの隙間には…

丁寧に、同じ幅で折りたたんだメモ用紙が、同じ間隔、同じ角度で…

上からノブの辺りまで、ビッシリ隙間なく差し込まれている、、日掛け屋系ね。

ドアを蹴飛ばしたであろう、幾つもの足跡。

 

これは、廃墟よりもかなりひどい廃墟。

 

中で死んではいないだろう、死臭はない。

 

もうくる必要はない。

 

 

二度とここに帰ってこないのは、もう分かっている。

住民票なんて移せないはず。すぐにバレるから。

酒かヤク中で犯罪でも起こすか、ノイローゼで入院するか。

ホームレスか、訳ありで派遣会社の社宅に逃げ込めるか、、まあ、最悪自殺か…。

 

相談に来た時点で、もうとっくに詰んでた。

 

 

何を間違い、どこで狂い始めたのだろう…?

自分も間違い、狂っているかもしれないけれど…。

 

子供の頃は同じように、無邪気にドッジボールをして遊んだはずだ。

生きていく過程で、何かを考え、選択し、実行してきたことに、正直な結果が出る。

同じ人間が、豊かなはずの国で、同じルールの中で生きて、広すぎる格差が生まれる。

 

全ては自己責任で弱肉強食なのは、人間界も同じこと…。

どちらかを選ぶ必要がある。

何かを企て、狙いを定めてなければならない。

勝つだけでは終わらない、勝ち続けていかなくてはいけない。

食われる前に食わなきゃ、やられてしまう。

 

 

それにしても、どん底にもほどがある。

 

あなたの目に映る景色は、平和で豊かですか?

ほんの少しずれた斜めあたり、ほらすぐそばに、全く違う世界がありますよ。

 

まだまだ、底なし沼のように、ひどい場所が存在する。

 

 

現場で見る現実の光景は、いつも複雑な何かを訴えている。